銀の雨

腕の中で息子の体温が抜け落ちていくのが分かった。廃墟の一角にもたれかかりながら、私は声をしゃくりあげながら、ひたすら泣いた。雨が好きだった息子。レインコートを着てははしゃいでいた小さな背中や笑顔が脳裏をかすめては、胸が引きちぎれそうだった。誰を恨めばいいだろう。誰を責めればいいのだろう。どうすれば、この悪夢から目覚められるのだろう。分からない。私はただ、いいようのない無慈悲な現実に背中を丸めているしかなかった。この戦争が終わることを、切に願いながら。end