抱えた両膝

 私は部屋の壁に寄りかかり、自分の膝を両手で抱く。ため息が漏れた。
 最近、全く面白くない。毎日が、人生が。人間関係の難しいさが、頭のてっぺんから重くのしかかってきた。いっそ誰にも会わずに生活できたら。そんなことさえ考えてしまう。
 一人でいたい。仕事になんかいきたくない。隣りの人を信用できない世の中を、私は心から哀しく思った。欺瞞だらけの世の中で、せめて一つでも光があればいいのに。