世界が終わる日

 空に向かってそびえるビルの合間を縫いながら私は歩いた。
 中華街の裏路地。猫やからすが残飯を漁っては生ごみを路上へ撒き散らす。周囲に害を与えているという点では、私達人間と変わりない。世界はもうすぐ終わる。漠然とそう理解したのは、つい最近のことだ。私はジーンズのポケットから煙草を取り出すと、火をつけ煙を吐き出した。空は低く、今にも地上を多いつぶしそうだった。