最後の希望

息子よ。歪んだ俺の視界でもお前の顔はよく見える。俺はきっともうすぐ逝くだろう。こんな体になってから思うのは、父としてお前に何かしてやれたのかということだ。自分でもよくわからない。せめて今の俺がお前にしてやれるのは、死の怖さと生の大切さを伝えることだけだ。しかめっ面で泣くのを堪える気丈な息子。強くなれ。一人で立てるよう、誰かを支えられるよう、ひたすら強くなれ。それが俺の願い。先に逝く父の願い。end