君 の 額

 ゆーちゃんのおでこ、暖かいね。
 そう言って笑っていた彼女の額に自分のそれをそっと重ねる。ぞっとするほど冷たく、僕は彼女の青白い顔を凝視する。眠っているように、だけどかたくなに閉じられた瞳。
 二度と僕を映さないユキの瞳。
「嘘だろ」
 僕の呟きが沈黙を揺らした。
「今朝まで元気だったのに。なんでだよ」
 嗚咽を漏らしながら僕は彼女の額に自分の額を重ねる。残酷なほど冷たい、愛する人の肌に体温をよせる。