氷 の プ ラ イ ド

 伝えたい感情が言葉にならず、苛立ちに弾かれた僕は手にしていたグラスを床へ叩きつけた。本当はわかっているのだ。誰を守るべきか。それなのに薄っぺらいプライドが邪魔をして、うまくあいつに伝えることが出来ない。このままじゃ、きっとあいつは離れていく。いわなければならない。携帯電話を手にとりコールする。
「もしもし」
 と向こう側で彼女が言った。伝えるんだ。彼女の声が僕のプライドを溶かす。伝えなければいけない。この気持ちを。これからのことを。数秒後、僕は決死の覚悟で彼女に告白する。